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Ladies and Gentlemen dream
愛しい背中
今日も
「BREAD STORE 〜ナマエ〜」は繁盛していた。

従業員はパン焼くのは俺で、レジとかその他は先輩の仕事。
アルバイトを募集しようという話も一度持ち上がったが人件費が高いし、何よりパンの焼き加減とかが変わってしまうのが嫌だった。何度か張り紙していないのに
「ここでアルバイトしたいんですけど…」
そう何人かの学生が言ってきたが、
すべて断った。


昼休憩。
まぁ2時からだが。
「BREAD STORE 〜ナマエ〜」は10時開店で、2時まで午前の部は休憩なしで働いている。

そしてまた4時から7時までの午後の部もある


「ふぅ、今日なんか昼から予定あったっけ?」
「ナマエ。忘れたの?」
「だから、きいてんだけど…」
「そっかー。ちゃんと覚えといてよー」
「すまん」
「5時からTV局が取材に来るんだよ?」
「あーそうだったなぁ」
「うん」
「どーせなら全国で紹介してくれっつーの。あ、いやこれ以上注文増えたら困るなぁ。俺パン職人としてはまだまだ未熟だからなぁ…」
「そーなの? 私はナマエのパン世界で一番おいしいと思うけどなぁ」

「ありがと」

そういいナマエは先輩にキスをした。

「えへへ、照れるなぁ」

「なーに、言ってんの。もう私達結婚してるのよ!」

「でもねぇ、いきなりだとなんかね…」

ちなみに言えば店と住居は一緒だ。今いるのは店ではなく住居の2階の居間である。「あーもう3時30分だ。ナマエ、午後の部のパン焼かなくていいの?」


「おぉーっと、忘れるとこだった。 ありがとう先輩」

俺はパンを焼いていた。先輩はレジをうっていた。
そして5時。

「はい、ここが今噂の「BREAD STORE 〜ナマエ〜」です。それでは中に入りましょう」
リポーターが言っている。
なんかこの声聞いたことがあるような気がする。

カランカラン。
客が入ってきたらわかるように
店のドアには鈴をつけている。

まぁ客というよりも
今回はTV局の人たちだった。
ちらりと見たがリポーターは髪は茶髪でミディアム、目は釣り目で鼻は低い人物がだ。

まぁティナだ。
結婚してるかどうかまでは知らない。
「私はここのパン屋のパン食べたことあるんですけどすごいおいしいんですよー」
ティナが言った。まぁ不味くてもそういうのがリポーターの仕事だもんな。
「そして何よりもここの店主は私の初恋の相手なんです。その当時は両想いだったんですけど付き合わなかったんです。
 ってどーでもいいですよね、テヘ」

ティナ、何いってんだ…。
懐かしいなぁ。
中学3年、一緒に空眺めて…。
キスされて…。3学期始まったらティナはいなかった。

はい、回想終了。
これ以上やったら
パンが焦げてしまう。
よし、いい感じだ。

テクテク。
空だったアンパンのコーナーに
アンパンを6個ほど補充した。

TV局の人が入ってきた。
「あ、店主のナマエさんですよね?」
あーそーだ。
ティナは今日客としてきたんじゃなくて
ティナの仕事で来たんだったな。
「はい。
 そーです」

「少しインタビューしてもよろしかいでしょうか?」

「はい、かまいませんが」

「では、1つ目。なぜパン屋をしようと思ったんでしょうか?」
「はい、それは大学生の頃アルバイトでパンの製造をしていてその楽しさにとりつかれてパン屋を開こうと考えたんです」

「はい、ありがとうございます。それでは2つ目の質問に移ります。では、この店のパンはその大学生時代のアルバイト先の味をコピーしたということでしょうか?」

「いえ、そうではありません、まぁそのことは企業秘密ということで…」
「ありがとうございます。皆さんも是非この「BREAD STORE 〜ナマエ〜」へいらしてください! ホントにホントにすごく美味しいんですよ」

「はーい、OK」
ふぅ、初TV終わった。
「ティナさんー、今日の予定はこれで終わりなんで15分ほどここにいても大丈夫ですよー」
「あ、はーい。わかりました」



「ティナ…。
 久しぶりだな」
「うん」
「結婚式呼べなくてすまなかったな。つーかまだ式挙げてないからなんだ」

「そっかー」
「それにしてもティナはリポーターになってたんだ。ティナは意外とお世辞うまいんだな」
「うん、前からの夢だったしお世辞?」

「おぅ、あの、なんだ、俺のパン美味しいっていってたやつ…」

「あれはお世辞じゃないよー。
 ホントに前食べたときすごーーくおいしかったんだから」

「そっか、ありがと」

「ティナー。 15分ほどたちましたー」

「じゃぁね、またね、ナマエ」
「おぅ」

ティナとの会話が終わった後に先輩が横に来た。
「そっか、あの子がナマエの初恋の子なんだ」
「あぁ、懐かしいな」
「浮気はゆるさなーい」
パンのトングで俺を殴ろうとした先輩を俺はこういってキスした。

「俺にはもうお前しか見えないよ」

会社に戻ったティナ。

「ティナさーん」
「はい」
「ファンレターみたいなFAXいっぱいきたよー」
「え…」
それをみたティナはビックリした。顔はそこそこいいらしく
ティナがリポートするときは必ずファンレターみたいなFAXがくる。

その内容のほとんどが
「初恋の相手との再会おめでとう」
だった。

その中継は生放送だったから俺も先輩も俺が話してるとこは
見れなかった。

その日以降
元からけっこう繁盛していた
「BREAD STORE 〜ナマエ〜」
に客はさらにわんさかと来るようになった。

俺は仕事の都合上で、ほとんどTV見てなかったがティナはけっこう人気あるリポーターだったらしい。男女問わず
「TV見ました。店主みることはできますか?」
などと聞く客が2週間はいたそうだ。
そういった客に先輩は

「今はパン焼いているんで忙しいんでまたいつかきていただければ見れるかもしれませんよ」
そういっていた。


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あきゅろす。
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